2025年12月16日
住職の言いたい放題(80)『美穂、そのうちいくから待っててね』
こんにちは。住職の斉藤隆雄です。
昨年(令和6年)12月6日に急逝された中山美穂さんを偲ぶ『中山美穂 お別れの会』が、4月22日、東京国際フォーラムで行われ、約700名の著名人・関係者が、その早すぎる旅立ちを悼みました。
会の中で、女優の小泉今日子さんが涙ながらに弔辞を読み、最後に、声を詰まらせながら次のように語りかけられたといいます。
「美穂、さようなら。美穂、よく頑張ったね。美穂、ありがとう。かわいい妹、美穂、元気でね。美穂、そのうちいくから待っててね」
極限の悲しみの中から発せられたこの言葉に私は「極楽浄土で必ず再会したい」という切なる願いを強く連想いたしました。先立たれた大切な方と、来世で再び会いたい——。
その願いは、法然上人の時代においても、今を生きる私たちと少しも変わりません。法然上人が四国へ流罪となる折、すでに75歳。帰依者であった関白・九条兼実公(1149~1207)との別れに際し、法然上人は以下の歌を贈られました。
「露の身は ここかしこにて消えぬとも 心は同じ花のうてなぞ」
(露のようにはかないこの身が、どこで消えようとも、心は同じ。浄土の蓮台〈花の台〉において、必ず再会いたしましょう。)
今生で再会できれば、それに越したことはありません。しかし、それが叶わぬ別れであっても、来世において再会できる。だから、あまり悲しまないでください。流罪の旅立ちにあってなお、法然上人は兼実公をそのように励まされたのです。
極楽浄土での再会は、仏説阿弥陀経にも説かれる、お念仏のご利益であります。私たちもまた、大切な方との別れを避けて通ることはできません。けれども、法然上人のお歌のとおり、いずれお浄土での再会が約束されています。
皆さまが今生でお別れした方と、必ず再会できる浄土往生を願い、日々、お念仏の中に過ごしてまいりましょう。合掌







