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2023年2月1日

住職の言いたい放題(65)『バカの災厄』

こんにちは。住職の斉藤隆雄です。

フジテレビ「ホンマでっか!?TV」に出演されている池田清彦先生の著書、『バカの災厄』では、バカを「概念が孕む同一性は一意に決まる」と思い込んでいる人と定義している。噛み砕くと「この世界には最終的な真理があり、その認識を共有しない者は許せない」と思っている人で「すべての概念は捏造させたもの」ということにまったく思いの及ばない人を「バカ」と定義しています。
 
いかに高学歴な人でも、知識や教養のある人でも、独善的で他人の意見に耳を傾けない場合を「バカ」とします。「自分は絶対に正しい」と思い込んで視野が狭くなり、異なる意見に耳を傾けず、自分の意見を否定されると攻撃的になります。
 
そもそも「世の中には絶対的に正しいことなんかない」という当たり前の現実を受け入れるべき。と池田先生はいわれます。
 
この本を読んでまず頭に浮かんだのが「マスク拒否おじさん」のことでした。この方は超超一流の大学、大学院を卒業した30代の男性です。
 
令和2年の9月に飛行機内でマスク着用を拒否し、乗務員とトラブルとなり、途中で緊急着陸させた「マスク拒否おじさん」です。

令和3年4月には飲食店にマスクを着けずに入ろうとして、店員と口論になり、駆けつけた警察官を殴り逮捕されています。

令和2年の9月といえば、5か月前の4月に緊急事態宣言が発令されました。まだワクチン接種が始まっていない時期です。結局、この飛行機は90分遅れの到着となりました。多くの乗客や乗務員が迷惑を蒙ったことでしょう。

昨年の12月に懲役2年、執行猶予4年の有罪判決が言い渡されました。ワイドショーのコメンテーターが『面倒くさい奴』と評していたのが印象的でした。

これこそまさに「バカの災厄」です。もし法然上人がおられれば、「凡夫の自覚が必要ですよ」と言われたに違いありません。