西念寺からのお知らせイメージ

お知らせ一覧へ

2022年8月5日

住職の言いたい放題(61)『離欲で人間関係のストレスを解消』

こんにちは。住職の斉藤隆雄です。

仏教では私たちの住むこの世界を「苦しみの世界」と説きます。
(一切皆苦 いっさいかいく)

この場合の「苦」は自分の思い通りにならない世界という感じでしょうか。色々なストレスと共に生きていかなければならない世界です。

ストレスの主たる原因は 1.人間関係 2.お金 3.健康 といわれます。

どのように生きていけば、この三つのストレスを軽減した生活が送れるのでしょうか。今回のテーマは「人間関係によるストレス」です。

『課長 島耕作』の漫画家、広兼憲史さんは「人生の困難の9割はお金で解決できる」と言われます。

人間関係によるストレスとは、仕事・友人・家族から生じるストレスです。莫大なお金があれば、気に入らない上司や取引先がいる今の会社をスパッと辞めることができるでしょう。人間関係によるストレスの解消法は、「付き合いをスパッと切る」ことです。他人をコントロールすることは基本的に不可能ですから、ストレスの発生源である人とは問答無用で関係を絶ちます。友人・親戚と絶縁する。嫌な上司や取引先でも仕事を辞めればストレスが解消されます。

しかし生活のために会社を辞められない。会社を辞めてもすぐに別の会社に再就職しなければならない人がほとんどです。上手く転職できたとしても、結局は新しい職場や慣れない環境でより強いストレスを感じるかもしれません。

残された道は、自身で自立することです。そうすれば取引先も従業員も今度は自分が選ぶ立場になれます。人間関係のストレスを断つには「完全に自立して他人に依存することを辞める」ことも重要です。

私もかつて会社を立ち上げて自立しました。学校を卒業後、約12年間サラリーマン生活を経験し、その後独立しました。お勤めの時は、それなりにお給料をいただき安定した生活を送りました。しかし職場内での人間関係は良好なときばかりではありません。転勤という人事交流で職場の顔ぶれが変わりますから、色々なストレスを経験しました。

会社を辞めて起業すれば仕事上の人間関係から生じるストレスに関してはかなり減少されたと実感しています。しかし今度は別のストレスが生じます。起業したけれど果たして上手くいくのだろうか。家族を養っていけるのだろうか。自分はとんでもない大間違いをしたのではないだろうか等々。次々と大きな不安からストレスが生じました。

サラリーマン生活もストレス。自立もストレス。ではどうする?

そもそもこの世は「怨憎(おんぞう)会苦(えく)」です。付き合いたくない人と付き合わなくてはならない苦しみ。こんな上司や取引先とは仕事をしたくない。という苦しみです。

基本的に相手の人間性を変えることはできません。私自身を変えていくことが必要です。キーワードは「離欲」です。営業成績を上げたい。出世競争に負けたくない。相手から嫌われたくない。等々の欲から少し離れてみればストレスが減少します。

仏教徒になる時に「私は尊い離欲の教えを実践します」とみ仏様に誓います。