2021年9月4日
住職の言いたい放題(53)『心に響くメッセージ』
こんにちは。住職の斉藤隆雄です。
東京の奥多摩町から檜原村を結ぶ「奥多摩周遊道路」は急カーブが続く山岳道路でツーリングのコースとしても人気のスポットだそうです。当然オートバイの事故も多いので、道路管理者が安全運転をお願いする看板を設置しました。
そこには 1.制限速度を守る 2.カーブの手前では減速する と書かれていましたが、残念ながら看板設置後も事故は減りませんでした。そこで次の文章を書き加えたら劇的に事故が減りました。
その文章とは『けがをしますと病院に収容されるまで約2時間かかります』というのです。この看板はこの道路をよく利用する人たちには「名物的存在」だそうです。事故をおこせば、傷みをこらえて2時間待つという苦痛。すぐに病院で治療をうければ助かる命が助からない等々の恐ろしい現実を連想させます。このメッセージから発信される具体的な想像が、安全運転への意識を強めるのでしょう。
7月から新型コロナウイルスの感染急増が止まりません。ついに埼玉県も緊急事態宣言が出されました。しかし専門家からは感染の危機感が十分に伝わっていないという指摘もあります。
昨年(令和2年)4月に出された第1回目の時は多くの人が緊張感をもって外出を控え自粛しました。しかし緊張感はそう長く続くものではありませんでした。次第に気が緩み、総理が『人流は減っている』『治療薬がある』と原稿を見ながら発言していますが、これでは危機感を共有できません。
感染者が急増すれば、入院する病院もなく、治療する医療スタッフもおらず、更に感染に拍車がかかり、多くの方々が苦しむという事態を具体的に連想して、気持ちを引き締めるメッセージを自分自身に対して発信したいと思います。