2020年3月24日
住職の言いたい放題㉙「老後資金2000万円問題」
こんにちは。住職の斉藤隆雄です。
去年の6月、金融庁のこの報告書が大きくマスコミ報道され、麻生大臣は不適切として報告書の受け取りを拒否するという展開がありました。この問題を簡単におさらいしますと、高齢夫婦のみの無職世帯は毎月約5万円位赤字になるので、この先20~30年の生涯赤字額が2000万円位になるという計算でした。
テレビでもおなじみの経済ジャーナリストの荻原博子さんは、著書「年金だけでも暮らせます」(PHP新書)で、リスクのある投資で資産を増やそうということには否定的です。『意識革命で』出費を抑えることを主張されています。
今のリアルな生活を直視・改善して、年金等の収入の範囲内で生活する。今ある貯蓄は将来の介護費用と医療費として手をつけずにとっておく。という主張です。
この問題を仏教的に考えてみます。当然のこととして、済んでしまった過去の事実を変えることはできません。未来の不安を妄想しても実体のないものに振り回されるだけで、心が乱れます。
仏教では『今、何をすべきか・今何ができるか』と問いかけることが大切です。 仮に報告書のように、毎月5万円赤字ということは、今日一日では1600円の赤字です。ですから今日1600円稼ぐか、1600円出費を抑えるか、800円稼いで800円出費を抑えれば問題解決です。解決すれば心安らかです。
この報告書はモデルプランとして平均寿命等々の平均値を基に計算されていますが、平均値はそれぞれの個人にとっては、全く意味のない数値です。現在に心を集中することで、過去の失敗をいつまでも引きずることなく、未来への漠然とした迷いや不安から解放されましょう。
老後不安に煽られて、不安を膨らませて、押しつぶされないように気をつけましょう。