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2017年3月1日

住職の言いたい放題⑨「輪廻思想は素晴らしい」

こんにちは。住職の斉藤隆雄です。

お隣の韓国と中国との関係がよくありません。その原因の一つが領土問題です。

内田樹著(神戸女学院大学名誉教授)「困難な成熟」に領土問題の解決方法は二つしかないと書かれています。『ひとつは戦争による解決。一番シンプルな解決方法です。しかし国際社会からの倫理的非難、被害者の友好国からの報復、国境を隣接する他の国々の硬直化などがあり現実的ではありません。だから残された解決方法はひとつしかない。それは両方ともその結果に同じくらい不満な「五分五分の痛み分け」を受け入れるということです。』 これには更に両国の統治者が共に政権基盤が安定していて、高い国民的人気に支えられているという条件が付きます。

私はもう一つの可能性として、日中韓で「輪廻思想」を共有することが問題への糸口になると思います。仏教は輪廻思想の上に成立しています。「輪廻」とは、『生あるものが生死を繰り返すこと』(岩波仏教辞典)。医学が示すように、私たちは、死んだらお終いではありません。

遥か昔からの前世があり、又来世があるのです。私たちは過去世において、地獄や餓鬼や動物という非常に苦しみの世界を生まれ変わりしてきました。ですからすべての命は平等で無差別です。クジラの命と牛の命に価値の違いをもつキリスト教とは異なります。

日中韓の全てに生存してきたかもしれません。この輪廻思想を根底に成り立つ仏教はインドから中国・朝鮮半島を経て日本に伝わりました。
キリスト教やイスラムの社会の方々に理解させるのは不可能に近いと思いますが、中国や韓国の方々に対しては、時間をかけて輪廻思想を共有できるような働きかけが必要だと思います。当然のことながら「ヘイトスピーチ」なども平等・無差別という側面から決して肯定できません。