2016年7月4日
住職の言いたい放題⑦「フィリピン慰霊の旅」
こんにちは。住職の斉藤隆雄です。
今年(平成28年)の一月下旬、天皇・皇后両陛下が54年ぶり、フィリピンを公式訪問されました。 先の戦争で日本人約52万人が死亡しました。これは海外の戦地で最大の被害だそうです。フィリピン側も約110万人が犠牲になったといわれています。今回、両陛下はフィリピン側の「無名戦士の墓」へ花を手向け、その後日本政府が昭和48年に立てた「比島戦没者の碑」にも拝礼されました。国籍や民族に関係なく、全ての戦没者を慰霊したいとする陛下のご意向を踏まえたご訪問でした。
私はフィリピンに、日本人の「比島戦没者の碑」があることを知りませんでした。調べてみると、マニラから約100キロ南のカリラヤ湖畔にあることが分かりました。私も3月下旬に「比島戦没者の碑」を訪ねました。
現地の交通機関を調べましたが、カリラヤ湖周辺は何もないところで、近くにホテルもありません。そこでカリラヤ湖からは少し離れた所にある観光地まで、マニラ市内から路線バスで行き、そこから乗り物を乗り継いで現地に行きました。2泊3日の行程でした。(この時の珍道中は後日掲載しようと思います。)
私が「比島戦没者の碑」に到着したのは午後2時過ぎでした。広い公園のような感じで、きれいに整備されていました。近くにはカリラヤ湖という小さな湖があるだけです。 全く車や人の物音もなく、風の音だけでとても静かです。慰霊碑は、石でつくられたお骨箱の形をしており、縦横高さがそれぞれ50センチ位です。70年以上前に50万人以上の日本の兵隊さんが亡くなられて、たったこれだけです。多くの方々が今でもフィリピンの山や海の中でご遺骨となっておられるでしょう。この慰霊碑の前に立った時、日本に帰りたかった、家族に会いたかったという、亡き多くの方々の想いを感じました。