2015年12月29日
住職の言いたい放題②「爆買い」
こんにちは。住職の斉藤隆雄です。
今年の流行語大賞に「爆買い」が選ばれました。2月から3月にかけての春節(旧正月)には多くの中国人旅行者が来日して、秋葉原で電化製品や貴金属を、コンビニやディスカウントショップで生活用品を「爆買い」する様子がテレビで放映されました。
その映像を見て、昔私がハワイへ行った時のことを思い出しました。当時のハワイ土産の定番はなんといってもマカデミアナッツ入りのチョコレートでした。値段もお手頃価格でした。このチョコレートを大量に買い、更にタバコやお酒も免税範囲内で目いっぱい買ってきました。
ワイキキにある免税店には毎日行って「ブランド品」のウィンドウショッピング、ABCストアーやTシャツ屋さんでも買い物を楽しんでいました。大金を持っていたわけではありませんから、今話題になっている中国人の「爆買い」とまでは及びませんが、私にとってはかなりの「爆買い」でした。
当時の自分と現在の中国人旅行者の「爆買い」の映像を重ね合わせ、驚きと共に微笑ましくそれらの映像を観ていました。
しかしその後、買い物に疲れて道路に座り込んでいる様子や、煙草やごみのポイ捨て等のマナーの悪さや、かなり危険な状態で記念写真を撮っている様子が画面に映し出されていました。
先程の微笑ましい気持ちもどこかへすっ飛んでしまいました。私と同様に不愉快な思いでこのニュースをご覧になられた方も大勢おられると思います。
しかし今、冷静になって考えてみると、これらのマイナスの映像を放映するテレビ局の意図は何なのでしょうか?視聴者に中国や中国人に対して悪印象を持たせるのは何故なのでしょうか?
過去を振り返れば、日本人も爆買いやマナーやエチケットに関しては、その昔、少しお恥ずかしい時期がありました。
海外旅行が自由化されたのは昭和39年だそうです。今からおおよそ50年前ですが当時、日本人の旅行者が欧米の高級店で買い物をして、支払いをする際にズボンを下ろして、腹巻の中に隠し持っていた現金で支払い、現地の人々にひんしゅくを買ったというような、嘘みたいな話がありました。
又、パリのルイ・ヴィトンショップに整列・入場制限をさせたのは我々日本人です。
私たちにもそんな過去があります。ですからテレビに操られて、あまり中国人観光客の爆買いやマナーについては上から目線で批判せずに、寛大でありたいと思います。
海外から日本へ来る観光客は、基本的に日本が好きな方だと思います。『日本という国は電化製品が安くて性能が良いだけでなく、日本人のみんなが親切でとても感じがいいからまた是非行きたいね』と多くの中国人観光客に思ってもらえたらと思います。
マスコミに煽られて、上から目線で見下したりすることなく、慈しみをもって柔軟な態度で見守りたいと思います。穏やかな笑顔と優しい言葉を失わないように気をつけたいと思います。