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2023年11月1日

住職の言いたい放題(69)『お念仏の正体』

こんにちは。住職の斉藤隆雄です。

アメリカ人の父と日本人の母の間に生まれた男の子は小学校で「ハーフ」と揶揄され引き籠りになってしまった。「ハーフ」は半分を意味するから、本人が落ち込むのも無理はない。すると父親が「お前はハーフじゃない。ダブルだ」その瞬間この子の目の色が変わった。アメリカ人の父から一つ、日本人の母から一つをもらい受けた自分はダブルであると気づいた。ハーフ(半分)からダブル(2倍)にこの子の正体が変更され、この子は自信を取り戻し学校に行けるようになった。

ここで注目すべきは、彼は何も変わっていないという点です。考え方を変えたことで古い自分から新たな自己が誕生した。

「念仏」もインドでは数ある中の修行の一つに過ぎなかったが、中国に入ると唐の善導大師は、念仏を「阿弥陀仏の本願で誓われた念仏」「阿弥陀仏が本願で往生を保証された念仏」と特別な意味を付与された。

「単なる念仏」が「本願念仏」に正体を変更する。善導大師の「本願念仏」をさらに昇華したのが浄土宗の宗祖法然上人です。

法然上人は、「本願念仏」とは、人間が選んだのではなく、仏の側の阿弥陀仏が選ばれたお念仏ですから「選択(せんちゃく)本願念仏」へと正体を変えました。

仏説無量寿経には阿弥陀仏の四十八願が説かれます。その第十八願には、一切の諸々の修行を選捨して、ただ偏に念仏一行を選択して往生の本願としています。

なぜ念仏だったのでしょうか。法然上人は、お念仏は阿弥陀仏のすべての徳が含まれているから最も優れており、さらに易きがゆえにすべての人に行じることができると説明します。お念仏は最も勝れた行で最も易しい行だからと説明します。

来年は浄土宗が開かれて850年の節目を迎えます。お念仏を正しく理解して、日々お唱えしましょう。