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2023年2月1日

住職の言いたい放題(66)『大岳先生を偲ぶ』

こんにちは。住職の斉藤隆雄です。

昨年の11月末に群馬県東吾妻町の曹洞宗長徳寺さんを訪ねました。ここは令和2年の2月にご逝去された酒井大岳(だいがく)先生が住職をされていたお寺です。
 
今から25年前、私が住職になりたての頃、現在のさいたま市にある寺のご住職から大岳先生の法話会のお誘いをいただき、それがご縁で平成11年5月の当山祈願会にご法話をお願いしました。仏教的な生き方を楽しく分かりやすく説いていただきました。結局10年間、10回のご法話をしていただきました。
 
当時、大岳先生はネパールに多くの小学校を建設していました。山岳地帯に住む多くの子供たちが教育を受けていない現実を知って、先生の小学校建設が始まりました。
 
平成14年には先生と一緒にカトマンズ郊外の小学校の完成のお祝いにネパールにご一緒させていただきました。多くの小学校を建設した先生は、関係者の方々からは熱烈な歓迎を受けました。
 
数年後、柳家小満ん師匠の落語会をご本堂で開催するからとお招きをいただき、初めて長徳寺さんに伺いました。その時、感じたことは、かなり古い本堂だなという印象でした。 私は当時の自分の見方をとても恥ずかしく思います。日本中を布教で飛び回り、30冊以上の本を執筆して得た浄財を、自分の寺より先にネパールに喜捨していたことを失念していたのです。
 
今回お墓参りをしたくて長徳寺さんに向いました。まず目に入ったのが新しい本堂でした。しかしお寺にはどなたもいらっしゃいませんでした。本堂の周りにはお墓もありません。仕方ないので帰ろうかとしたところ、一台の車が境内に入ってきました。先生の息子さんのお嫁さんでした。坂を上った先に先生と先立たれた奥様のお墓がありました。自分の寺より遠いネパールの子供達のために心血を注がれた先生の生き方と、先生の笑顔を思い浮かべ、目頭が熱くなりました。