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2022年2月1日

住職の言いたい放題(56)『私の体は私のものではない』

こんにちは。住職の斉藤隆雄です。

「無我」には二つの意味があります。一つは「我がない」私というものは存在しないという哲学的な捉え方です。もう一つは「私のものは無い」という捉え方です。例えば「私の体は私のものでは無い」といえば分かりやすいと思います。しかし「自分の体は自分のもの」と多くの人は理解しています。その認識の違いで悲劇が生じます。

私は以前から『あなたは喘息です』と診断されていました。普段は薬も服用してまあまあ健康的な生活をしていました。しかし今年のお正月に急激に体調が悪化しました。一日中息苦しく、いつもの薬を飲んでも効果がありません。

その時に「無我」を思い出しました。もし私の体が私のものであれば私の思い通りに喘息が楽になるはずですが、残念ながら「無我」ですから、思い通りにならない現実がありました。

そこで今後のことは次のように決めました。まずお医者様に診察・治療をしていただく。そして体調が良くならなければ、生活そのものを根本的に変えて、体調にあった生活をする。私の場合でいえば、体を動かすと苦しくなるので、運動等は辞めて静かな生活へと変える。そのように覚悟を決めて腹をくくりました。

翌日、呼吸器専門の先生に診察していただきました。体調悪化はアレルギーが原因と診断されました。今までとは違うアレルギーに効果のある薬を処方していただきました。幸いなことに薬を服用した翌日からすっかり喘息の症状がなくなり、元の生活が戻ってきました。

歳を取れば次第に体調が悪化します。望みどおりにならない時がいつか来ます。その時に健康だった過去の自分や他人と比較して、おののき嘆き悲しむのではなく、体調に合わせた生活へと変えていく冷静さと決断が必要です。

「私の体は私のものでは無い」のです。