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2021年7月31日

住職の言いたい放題(52)『騙されない』

こんにちは。住職の斉藤隆雄です。
 
昭和史に関して多くの著書を刊行された半藤一利さんが、今年(令和3年)1月に亡くなられました。半藤一利さんの著書『B面昭和史』(平凡社)のあとがきには、次のように現在を歎かれています。

『集団主義への傾向が強くなりつつある。個人の価値なんかどうでもよろしい、集団の調和のほうが大事、すべて国家の利益(国益)を先行させるべきである、そんな声が大きくなっている、というわけです。

具体的に言うと、「集団自衛権の容認」で憲法九条の空洞化に成功し、以下、今の日本の指導層はまことにウソ?をつくのが上手になり、平気になった。たとえば戦闘を「武力衝突」、共謀罪を「テロ等準備罪」、公文書の情報公開を阻む法律を「特定秘密保護法」、武器輸出を「防衛装備移動」、カジノ法を「総合型リゾート実施法」、さらに移民を「外国人材」、単純労働者を「特定技能者」、空母を「多用途運用護衛艦」、そして肝腎の安保法制を「平和安全法制」エトセトラ。まるで戦中の大本営発表のようです。(中略) かつての日本の軍部や政治家が”現人神“天皇の名をかりてほしいままに国政を動かしたように、今の日本のトップにある人もだれかの名をかりて負ぶさって勝手にふるまい、戦後70年余、営々として築いてきた議会制民主主義そして平和を希求する国民の願いをなきものにしようとしている、かのように考えられてならないのです。』

生物学者の池田清彦さんは扶桑社新書『騙されない老後』のはじめにで次のように警告されています。
『菅政権は、日本学術会議が正規の手続きを経て推薦した新会員候補者6名の任命を、何の根拠も示さずに拒否するという暴挙に出た。時の政府の方針に逆らう者は有無を言わさず排除しようとする政権なのだから、国民はもう少し危機感を抱いた方がいい。

政権の国民に対するコントロールはますます巧妙になってきている。自分の現在の損得だけを考え、多数派支持のほうが何かと安心だなどと思い込んでいると、気づいたときは手遅れで、明日はわが身になりかねない。世の中の人がとりわけ騙されやすいテーマが、「安全」「健康」「環境」である。これらは不安を煽りやすいので、政治権力者が国民を騙す際の格好の大義名分として利用されるからだ。』

国際NGO「国境なき記者団」(RSF、本部・パリ)は2021年4月20日、恒例の「報道の自由度ランキング」の21年版を発表しました。ランキングの対象は180か国・地域で、日本は20年よりひとつ低い67位でした。

世界各国の軍事力を分析・評価し、毎年ランキング形式で発表している「グローバル・ファイヤーパワー」によると、「2019年軍事力ランキング」において、日本は6位という順位でした。これは韓国の1つ上、フランスの1つ下の位置づけになります。

目の前のコロナ禍・ワクチン接種・オリンピック等々につい気を取られて、日々生活をしています。しかし常に、冷静に日本の向かっている方向をチェックしていきたいと思います。