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2021年6月17日

住職の言いたい放題(50)「履けない靴は残念」

こんにちは。住職の斉藤隆雄です。

靴選びは難しい。自分の足にピタッと合う靴を選ぶのは結構難しいです。以前、ブランド品でかなり高価な靴を買いました。しかし残念ながらほんの少しサイズが小さく、暫く歩くと足が痛くなってしまいます。結局この靴はほとんど履くことなく泣く泣く知人にあげました。

最近は軽くて滑らないカジュアルな靴をよく履いています。この靴は本当にピッタリでとても履きやすいのでお気に入りです。服やズボンなら、今現在サイズが合わなくても、将来痩せたり太ったりして着られることがあるかもしれません。しかし靴はそうはいきません。小さい靴は足が痛くて駄目。大きすぎればうまく歩けない。靴選びはまず自分の足に合ったサイズを選ぶことが最重要です。どんなに高価でデザインが優れ、材質が高級、色彩が美しく、希望通りのイメージ通りの靴だとしても、自分の足のサイズに合わなければ全く意味がありません。

この当然で当たり前の選択を仏教で実践したのが法然上人です。それまではどの経典が一番勝れているか、一番尊い教えはどの経典かという観点から仏教を捉えます。経典の優劣、浅深を最重要とします。「教を選ぶ」というスタンスです。しかし法然上人は『教を簡(えら)ぶにはあらず、機を計(はか)らうなり』とおっしゃいます。経典の優劣、浅深を最重要とする今までのスタンスを否定します。先ずは自分自身の人間性・能力をしっかりと見極めて、身の丈に合う教えこそ最も尊い教えというスタンスです。
 
私は出来が悪い人間だからお念仏。あなたは優秀だから勝れたお経。というのではありません。誰でも生まれた時から具えている、人間の性(さが)、煩悩が邪魔をして『法華経』の説く修行は出来ない。性や煩悩は素質や能力ではありません。皆が一律平等に身に備えています。そんな私の身の丈にピッタリな、お念仏の教えを信じ、お称えして、ご一緒に阿弥陀さまの船で極楽の岸にお連れいただきましょう。