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2020年12月3日

住職の言いたい放題㊸「健康と老・病・死」

こんにちは。住職の斉藤隆雄です。
血圧が高いと将来脳出血する確立が高くなります。高血圧は他にも心筋梗塞など無数の病気と関係があります。血圧は健康と関係していますから高血圧でない方がいいのです。そこで血圧を下げる効果のある薬による治療をすることになります。

ここまでは私も知っています。それでは血圧が下がるとどうなるのか?

医師の大脇幸志郎先生は著書の「健康から生活を守る」の中で次のように指摘されています。

血圧を下げるのは、大まかに言って、脳出血を防ぐためだ。脳出血の予防とは、現実には脳出血を遅らせることを意味する。人はいつか死ぬ。脳出血で死ななければほかの原因で死ぬ。寿命が伸びるとは、他の病気に出会う時間が増えるということでもある。脳出血を防ぐとは、たとえばガン・心筋梗塞・肺炎を増やすことを意味する。「予防したのに病気になった」と後悔するのが嫌だから、「予防をしない」と考えるのは個人の自由だ。

半世紀以上前に禅僧の関大徹老師がご自身のガン体験を語られている。

大病を患った。ガンである。医師から死の宣告を受けた。正直に言って死ぬと思った。ところが良医を得、手術のおかげで命をとりとめた。ガンにかかって奇跡的に命を得たからといって、不老長寿の保証を得たわけではない。何年か何十年か生き永らえるだけであり、あるいは、死のきっかけがガンという病名でなくなっただけのことであって、死から免れたわけではないのである。

医者と僧侶と立場は違うが言っていることは同じです。生死に対する考え方、死に基づいた人生観の重要性です。避けることの出来ない老・病・死に対して、「健康第一」から更に一歩進めて、老・病・死と真正面から対峙する生き方を模索することが大切です。どのように死に対して向き合うかによって、医療に対する向き合い方もおのずと決まってくるでしょう。