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2020年9月13日

住職の言いたい放題㊶「売り手よし、買い手よし、世間よし」

こんにちは。住職の斉藤隆雄です。

「他国へ商売に行っても……自分のことよりもまずお客のよいように考え、高利を望まずに何事も天道のめぐみ次第と思い、その地の人々を大切に商売しなさい」江戸期の近江商人、中村治兵衛が孫に残した書き置きの現代語訳です。同志社大末永國紀名誉教授は近江商人の心意気を示す「売り手よし、買い手よし、世間よし」の「三方よし」の原典がこの文章だといいます。

諺の「情けは人の為ならず」を広辞苑は、情けを人にかけておけば、巡り巡って自分に良い報いが来る。人に親切にしておけば、必ず良い報いがある、と説明しています。

「買い手よし、世間よし」の商売は良い報いとして「売り手よし」となって自分に利益をもたらせることになります。

仏教も自分への利益追求だけではなく、他人や社会に利益や救済する行いを実践して、自らの利益を実現する、まさに「三方よし」の教えです。

具体的な行動として四摂法(ししょうほう)が説かれます
1.布施:財や法を施し、思いやりや安心感を与える
2.愛語:慈愛のこもった優しい言葉で語りかけ、慰(なぐさ)め安心させる
3.利行:他者の悩みや苦しみとなる行為をせず、利益をもたらす行為をする
4.同時:相手の立場で物事を考え、相手に寄り添いながら行動する
これらを実践すると相手が幸せになり自分も幸せになります。
 
10年間にわたり毎年5月に当寺でご法話をしていただいた、故酒井大岳先生は、自分の願いが達成されたよろこびは「喜」。相手のために尽力して相手が喜ぶ姿を見て、満足するのが「悦」と言われました。
 
自分の願いが叶うことはとても嬉しいことです。しかし他者の為に尽力して、相手が喜び、感謝される、相手の満面の笑顔を見た時に、苦労や疲れは吹っ飛びます。