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2020年6月1日

住職の言いたい放題㊱「命の選別」

こんにちは。住職の斉藤隆雄です。
 
新型コロナウイルスによる非常事態宣言が埼玉でも間もなく解除されそうです。(5月23日現在)

今後は二次感染や第二波の発生がとても不安です。

その際に「医療崩壊」が生じて、人工呼吸器などの医療資源以上に重症患者が急増した場合、どのように配分するのでしょうか。助かる可能性の高い人を優先する?若者を高齢者や障害者より優先する?何をもって患者を選別するのか、或は何も選別しないのか。この苦悩とストレスが生じる選別は誰がするのか。選び捨てられて、死に追いやられた方のご遺族の悲しみ、苦しみには誰がどのように対応するのか。今年の11月以降に第二波がくると「命の選別」が現実となるかもしれません。
 
『医療崩壊というのは、倫理の問題である以前に「医療資源の不足」という単純で物質的な問題です。(中略)人工呼吸器が1台しかないところに患者が2人来たら、1人は死ぬしかありません。いくら倫理的正解を求めても、正解なんかありません。そんな問題について今「どうあるべきか」なんか悩んでも、仕方がない。それより「こんなことが二度と起こらないようにするにはどうしたらいいのか」を今から考えておく方がまだしも救われる命は多くなると思います。』(内田樹の研究室より)
 
仏教ではどのように考えるのでしょうか?こんなたとえ話があります。母親と妻が川に落ちて流されています。どちらを先に救助するか?
 
妻を助けると、親の恩を忘れた親不孝者と非難される。母親を助けると、残された幼い子供が可哀想と非難される。さあどうしようか…などと考えていると二人とも溺れて助からない。そんな人間の知恵を仏教では嫌います。ではどうするのか。まず近くにいる方から救う。
 
医療崩壊が生じないことを願います。