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2018年9月4日

住職の言いたい放題⑳私の「戦後70年談話」

宝田明(俳優 1934年生)
太平洋戦争では非戦闘員入れて350万人という人が亡くなられています。そうした尊い犠牲のもとに、日本は果たして何を得ることができたのでしょうか。それは戦争を放棄する、戦争に加担もしない、戦力を保持しないと世界に宣言した憲法九条を持つことだったのではないでしょうか。

ちば・てつや(漫画家 1939年生)
戦争の本質は「勝ち負け」ではありません。勝ったとしても、そこには多大な犠牲が払われる。そして常に犠牲になるのは、子供や、お年寄りなど、弱い人たちばかりです。戦争を起こすのが人間なら、戦争が起きないよう努力できるのも人間です。

海部俊樹(元内閣総理大臣 1931年生)
教師には、誰が見ても間違いだと言い切れる戦争について、生徒にきちんと教えてほしい。かつて国民が恐怖し、嫌悪した戦争はしてはいけない。日本の基本は、国民主義、基本的人権の尊重、平和主義の三つに集約されています。政府、政治家はこの原則を大事にして、いささかも戦争に前のめりになってはいけないと思います。

山藤章二(エッセイスト 1937年生)
戦争を知らない世代ばかりの内閣に一抹の不安。私の個人的提言を贈るなら、あらゆる意味で、「大国になろうとするな」である。地理的条件や国民性から、「存在感のある脇役」国家が身丈に合っている。文化と精神性を発信してもらいたいのだ。

山田太一(脚本家 1934年生)
戦後70年、日本が戦争をしなかったことは実に素晴らしいことだと思う。政治家はどんな手を使っても戦争は避けるべきで、その時はあれこれひどいこともいわれるかもしれないが、時がたてばきっときっとよき選択とされると思う。

梅原健(哲学者 1925年生)
日本が他国に軍隊を派遣したことが三度ある。一度は白村江の戦い、もう一度は豊臣秀吉の朝鮮出兵、そして明治以降の朝鮮及び中国への侵略である。日本の歴史を見ると、他国に攻め入った戦争はすべて敗戦に終わった。自衛隊というのは大変よい名称であると思う。攻めてきた他国に対しては死力を尽くして戦うが、決して他国に攻め入らない。それは日本の伝統に沿った軍隊であり、カントが提唱した永遠平和の理念にも合致する。

香川京子(女優 1931年生)
最近は何か事件があると「命の大切さ」と言われますが、戦争ほど命が軽くなることはありません。命の大切さというのは、つまり平和であることだと思います。それを若い人たちに本当に分かってもらいたい。

金子淘汰(俳人 1919年生)
私が今の時局に不安を覚えるのは、与党・政治家たちの言動です。彼らは戦争の本質・残虐な現場をまったく知らずに、美辞麗句によって戦争を美化する。戦争への反省がない。そして再び日本を戦争へと導いているのではないか。

奈良岡朋子(女優 1929年生)
集団的自衛権の行使や特定秘密保護法案が通って、戦争も知らない人たちが国を司っています。口ではいろいろなことを言うけど、何をいうか!と感じます。いざとなったらそういう人たちは声をかけるだけで、自分は全然傷がつかないのです。一番問題だと思うのは、戦争に行くということは、殺人行為を犯すということです。

森村誠一(作家 1933生)
一度は政権を丸投げにした無責任の安倍晋三元首相が、前政権の失政に便乗して、「私は最高責任者であると」と豪語して甦った。安倍政権の怪しさは、まずは憲法九条を狙い、国民の激しい抵抗を無視して、閣議だけで憲法の解釈を変えたことである。

ジェームス三木(脚本家935年生れ)
若者たちに遺言しておく。戦争を起こすのは国家ではない。国家になりすました「時の政府」である。戦争の本当の意味は大量に人を殺すことである。

山田洋次(映画監督 1931年生)
戦後生まれのドイツのメルケル首相はアウシュビッツ収容所の解放70周年に合わせてベルリンで開かれた式典に出席し「アウシュビッツを私たちドイツ人は深く恥じます。人道に対する犯罪に時効はありません。過去を記憶し続けることは私たちの責務なのです」と述べている。ヒトラー時代に同盟国だった日本は、日本人と日本の政府はこの態度を謙虚に学ぶべきである。中国や韓国との関係改善はそこから始めなければならないだろう。

高畑勲(アニメーション映画監督 1935年生)
なぜ憲法九条を死守しなければならないか。それは、これが戦後日本国の初心であり、理想であり、それに縛られることこそが、近隣諸国との友好の基礎であり、国際的に日本の位置を安定させる力だからである。

丹羽宇一郎(元中国特命全権大使・前伊藤忠商事会長 1939年生)
戦争体験者で、戦争に近づこう、戦争をやろう、と考える人はおそらく一人もいないのではないかということです。
日本は自由貿易をしないと食べていけません。だから日本人ほど、世界の中で平和を希求する国民はいない、原爆を落とされ、原発事故も起こして、世界でいちばん平和を望んでいるのは日本人なんだ。このことを語り継ぎ、守っていく必要があります。憲法を守り、他国民を殺さないことで、日本は世界からリスペクトされるような理性的な国民だということを示してきました。それをどうして壊そうとするのか、まったく理解に苦しみます。

野中広務(元官房長官・自民党幹事長 1925年生)
事実は一つしかないんです。過去の事実は現実として受け止めて、過去に対して謙虚でなければ。現実に目をつぶって、近隣諸国や世界の信頼を得ようとしたって、それは無理ですよ。安倍さんは将来を語る前に、やはりこの民族の時代の先輩たちがどのような施策の誤りによって、軍国主義を徹底し侵略に出てしまったかを、もっと冷静に謙虚に受け止めて反省をしてくれなかったら、この国の将来は危ういと思います。

半藤一利(元文藝春秋編集長 1930年生)
私たちが誇るべきは、国家を見事に再建してきたとともに、他国との争いを厳に慎み、国際的な平和貢献に力を尽くしてきたという戦後70年の歩みであり、決して戦前の強国としての歴史なんかではない。