2017年3月27日
住職の言いたい放題⑪Part1「健康第一を考える」
こんにちは。住職の斉藤隆雄です。今回は高齢者の健康がテーマです。
平成20年の内閣府による幸福度調査では日本人は15歳をピークに歳を重ねるごとに幸福度が低下していきます。グラフで見ると日本人の幸福度は右下がりになります。
もう一つ興味深いデーターがあります。幸福度を判断する際に重視する項目のダントツは「健康」です。(55歳以上の男女)ご承知の通り、日本は世界一の長寿国です。健康な高齢者が世界一いる国です。でも多くの高齢者は幸せでないと感じています。何故なのでしょうか?お医者様の名郷直樹(なごうなおき)先生は著書『健康第一は間違っている』(筑摩選書)で次のような指摘をしています。
長生きしたいという欲望と酒を飲みたいという欲望は等価。
食欲をコントロールして健康になる。これは死なないための医療。
長生きをコントロールして好きなものを自由に食べる。これは死を前提とした医療。
高齢者は健康欲や生存欲を少しコントロールするという選択も大切だと指摘しています。
フジテレビの「ホンマでっかTV」に出演され、いつもニコニコされている池田清彦先生(生物学・昭和22年生まれ)は『名郷先生の主張を私なりに解釈すると、人は長生きをするためにのみ生きているわけではない、という事だと思う。(中略)死にたくないという欲望は決してかなえられないのだから、長生きすることばかりを人生の目標にするとあなたのかけがえのない人生を棒に振りますよ、という事だと思う。好きなことをして、うまい酒を飲んで、適当なところで死んだ方が、無為に長生きするより幸せってことです。』と著書、角川新書の「真面目に生きると損をする」で述べられています。
なぜ健康な高齢者の多くの方々が幸福感を感じられないのでしょうか。私は原因の一つに死生観の欠如があると思います。体力と知力があるうちにしっかりと死生観を確立することが幸福につながるのではないでしょうか。