2012年7月25日
『お盆について』法話
お盆は正式には盂蘭盆(うらぼん)といいます。サンスクリット語「ウランバーナ」の音訳で、逆さまに吊るされたような苦しみという意味です。これは餓鬼界の苦しみをあらわす言葉です。
盂蘭盆は『仏説盂蘭盆経』という経典に説かれています。お釈迦様の十大弟子の一人、目連尊者に由来します。ある時、目連様は亡くなった母が餓鬼界に堕ち、全身骨と皮になってやせ衰え、見るからに哀れな姿で苦しんでいました。なんとか母を救おうと、目連様はお釈迦様に教えを請いました。旧暦7月15日に、修行を終えて清浄になった僧侶に百味の飲食を供養しなさいとお釈迦様は目連尊者におっしゃいました。この功徳によって母は餓鬼の苦しみからのがれることができました。
さて、お盆には御先祖様や故人が帰ってくるといわれます。中国に於いて旧暦の7月15日は中元の日です。畑作の収穫祭の日であります。また、俗に鬼節といい、死者がこの世にもどって来る日だとされています。たまたま、盂蘭盆と中元の日が同じ日なので二つが習合しました。このことがお盆には御先祖が帰って来るという起源になりました。
お盆の入りの日(8月13日)に先立って逝かれた大切な方々をお迎えし、お盆の間ずっと生活を共にして16日にお別れするというのが一般的なお盆の過し方です。
しかし、いつでも大切な故人と一緒にいられるのがお念仏の素晴らしさです。大変、有難いことにお念仏をお唱えすれば、近縁(ごんねん)というご縁をいただけます。それは大切な故人がいつもそばに居てくださるというご縁です。まるで影のように、いつでも私たちに寄り添ってくださるのがお念仏の功徳です。
毎日、お念仏をお唱えし、大切な故人と共に人生を歩んでまいりましょう。