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2024年11月4日

住職の言いたい放題(72)『女人往生』

こんにちは。住職の斉藤隆雄です。

テレビの報道番組で、国連の女性差別撤廃委員会は皇位が男系男子とする規定を法改正するよう勧告しています。 

同様に選択的夫婦別姓も20年間是正を勧告されています。 国際人権法がご専門の青山学院大学の谷口洋幸教授は「同じテーマで4回も勧告が出されるのは異例」と過去の勧告に対応していないことを懸念しています。 

世界経済フォーラムが6月12日に発表した「ジェンダーの格差に関する調査」で日本は146か国中118位でG7・主要7か国の中では最下位でした。94位の韓国、106位の中国よりも下でした。

現在の日本でも女性差別や不利益に対して多くの問題が存在します。仏教の発祥地のインドでは女性が往生・成仏できないという女性蔑視の風潮がありました。インドから東南アジアに伝わった上座部の仏教では、女性は出家できません。女性が托鉢の修行僧に食べ物の布施をして功徳を積んでいる映像をよく観ます。

しかし中国経由で伝わった大乗仏教の経典、仏説無量寿経には阿弥陀仏の本願が説かれます その中の第三十五願は女人往生の願です。浄土往生を求める女人が男性になるというインドの社会風潮が背景となった誓願となっています。

中国でもそのまま継承されて、女性は往生できないので女身を転じて往生できる「転女成男」が説かれます。日本においても比叡山や高野山で結界を設けて女性の入山を拒んでいました。

法然上人は権力者の北条政子、皇室の式子内親王から遊女にいたるまで身分をこえ、当時のあらゆる階層の女性の救いの声に対して、法然上人は三十五願を説くことはありませんでした。お念仏による一切衆生の平等往生を説いた十八願を説きました。世間的相対の立場をこえて、ただ生まれながらの念仏による往生を勧められました。